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東京高等裁判所 昭和63年(行コ)67号 判決

東京都港区赤坂六丁目一九番三三号

控訴人

阿部公照

右控訴代理人弁護士

山本榮則

魚住裕一郎

古賀政治

吉成外史

右訴訟復代理人弁護士

北村晴男

愛川泰男

東京都港区西麻布三丁目三番五号

被控訴人

麻布税務署長

南袈裟雄

右指定代理人

田口紀子

大池忠夫

山口新平

佐藤米昭

林広志

右当事者間の相続税再更正等取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決を取り消す。被控訴人が昭和五七年二月一八日付けで控訴人の昭和五三年九月二四日相続開始に係る相続税についてした更正のうち、課税価格七八六九万一〇〇〇円、納付すべき税額二六五一万八五〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定(但し、いずれも昭和五九年三月一四日付けの再更正及び過少申告加算税賦課決定により減額された後のもの)を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上及び法律上の主張は原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する(但し、原判決三枚目裏八行目の「阿部つよ」を「阿部ゑつよ」に改め、同一二枚目裏九行目の「(ハ)」のつぎに「(課税価格の合計額)」を加える。)

(証拠関係)

本件記録中の原審及び当審の書証目録及び証人等目録の記載と同一であるから、ここにこれを引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であると判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の理由説示と同一であるから、ここにこれを引用する。

1  原判決二八枚目表三行目の「本件遺言は」の次に「、前掲乙第一六号証によれば、公証人役場において弁護士立会いのもとに作成された」を、「遺言であり」の次に「(なお、後記3(一)のとおり、本件建物は固定資産課税台帳に訴外会社名義で登録されているところ、右遺言公正証書の本件建物の表示においては、実測面積に合わせて、固定資産課税台帳上の登録面積が記されている。)」を、それぞれ加え、同九行目の「原告本人尋問の結果」から同裏二行目の「前提として」までを「甲第五、六号証(成立についての判断は後述する。)及び原審における控訴人本人尋問の結果によれば、本件遺言の後半年近く経過した昭和五二年一二月に、訴外会社の経理担当者が関与して、本件建物が訴外会社の所有であることを前提として、被相続人と訴外会社を貸借の当事者とする」に、同六行目の「原本の」から同九行目の「事実」までを「右各賃貸借契約書である甲第五、六号証にはいずれも被相続人自身の署名がない(このことは、その記載自体及び控訴人の原審における供述により明らかである。)など、右各証はその体裁上その作成に疑問がもたれること、原本の存在及び成立に争いのない乙第四〇号証によって窺われる昭和五二年末当時における被相続人の心身の状態及び弁論の全趣旨に徴すれば、右各証が被相続人の意思に基づき作成されたとは直ちに認めがたいこと(被相続人の意思に基づくものであるとの当審証人阿部泰子及び原審における控訴人本人の各供述には、にわかに信を措きがたい。)」に、それぞれ改める。

2  原判決二九枚目裏六行目の「訴外会社の」の次に「従業員が寄宿したり、」を同末行の「認められる」の次に「(官公署作成名義部分については、公文書であることによりその成立が推定される。)」を、それぞれ加える。

3  原判決三〇枚目表三行目の「事務所、寄宿舎」を「事務所兼宿舎」に改め、同裏六行目の「同須川六郎」の次に「、当審証人阿部泰子」を加える。

4  原判決三一枚目表五行目の「甲第一一、一二号証」を「甲第一一号証の一、二、第一二号証の一ないし三」に改め、同六行目の「と同年一〇月」を削り、同末行から同裏一行目にかけての「甲第一五号証」を「甲第一五号証の一」に改め、同二行目の「同須川六郎」の次に「、当審証人阿部泰子」を加える。

5  原判決三二枚目裏二行目から三行目にかけての「須川六郎の」を「須川六郎、当審証人阿部泰子の各」に改め、同八行目の「また、」の次に「右阿部泰子の証言は、相殺の一事のみ強調するものの、その具体的な処理等についての供述は曖昧であるうえ、前掲甲第五〇号証の三記載の同人の供述と必ずしも一貫せず、」を加える。

6  原判決三三枚目表二行目の「訴外会社との」を「訴外会社名義の」に改める。

7  原判決三六枚目表二行目の「(一)ないし(六)」を「右1の(一)ないし(六)」に、同五行目の「(一)」を「右主張4の(一)の(1)ないし (六)」に、同行の「(二)ないし(六)」を「右1の(二)ないし(六)」にそれぞれ改め、同裏五行目の「しかし、」の次に「前認定の本件建物の実際の利用状況に加え、」を、同一〇行目の「認められ」の次に「(なお、当審証人阿部泰子は、右乙第六号証記載の阿部好章の右許可申請の経緯に関する供述は、同人が一六、七歳の中学生であった当時の事実に関するものであって信用するに足りない旨述べているが、同乙号証によれば、右許可申請は好章がまもなく二〇歳に達するころになされたものであると認められるから、その理由とするところによっては、右書証を排斥するには足りない。)」を、それぞれ加え、同三七枚目表一行目の「固定資産課税台張」を「固定資産課税台帳」に改める。

8  原判決三八枚目裏七行目の「原本の存在及び」、同八行目から九行目にかけての「弁論の全趣旨により成立が認められる甲」を、それぞれ削る。

9 原判決四四枚目裏一〇行目の「右(六)」を「右2の(六)」に、同四五枚目表一行目の「右(三)」を「右2の(三)」」に、戸を三行目の「右(六)及び(七)」を「右2の(六)及び(七)」に、それぞれ改める。

二 以上の次第で、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について行訴法七条、民訴法九五条本文、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 枇杷田助 裁判官 喜多村治雄 裁判官 松津節子)

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